M&Aを意識するようになったきっかけや経緯について教えてください。
大谷
共同経営という形を採用している当社では、株式が複数の従業員やOB、創業者家族に分散している状況でした。株主の高齢化が進んだこと、そして事業成長によって株価が社員に譲渡できる水準ではなくなったことから、資本継承の手段を模索し始めたんです。そんななか、今回の契約を仲介してくださった企業と出会い、M&Aを検討するようになりました。
マイスターエンジニアリングとのM&A契約を選択したのはなぜですか?
大谷
まず、社員の平均年齢が若く、役員も40代の方が中心なので、とてもエネルギーのある会社だと思いました。加えて、対等な立場でお話しをしてくださる姿勢も好印象でしたね。
最終的には、当社を非常に高く評価してくれたことと、理念や社風が当社に近かったことが契約の決め手となりました。会長と面談した際に「人を大事にする」という価値観が当社と一致していると感じたんです。お話しをしているうちに、同じ方向を向いて一緒に歩んでいけるイメージができました。
M&A契約を締結することについて不安はありましたか?
大谷
グループ会社化することで、社員のモチベーション低下や離職に繋がってしまうのではないかという懸念はありました。
実は、ME・仲介会社の2社との対話を始めてから契約締結を決断するまで、1年半ほどの長い時間を要したんです。その間、両社とも決して決断を急かすことなく、我々が不安に感じている点について話し合いや説明の場を設けてくださいました。そのなかで、少しずつ懸念点をクリアにすることができたと考えています。
また、先にグループ加入した東日本エンジニアリング株式会社の社長との面談の場も設けていただきました。そこで、グループ加入当時に辞めた社員がいないかどうかなど、不安に思っていることを質問させていただいたんです。「辞めた社員は1人もいなかった」という話を伺い、ホッとしたのを覚えています。
グループ加入後、変化を感じたことはありますか?
大谷
会社の運営については今までと大きく変わったとは感じていません。
MEの管理体制は他とは少し違うんですよ。「管理」を英語で表すと“Control”ですよね。この言葉には、上から押さえつけられているようなイメージがあります。しかし、MEの管理は、リスペクトの気持ちを持ちながら社員の活動をサポートする“Take care”なんです。我々の企業運営に関しても、さまざまなサポートをいただいており、ありがたく思っています。
また、社員は物事をスピーディーに推し進めていくMEのカルチャーから良い刺激を受けているようです。グループ企業の社員との交流から「こんな考え方もあったのか」という新たな発見に繋がることもあると思います。
グループ入りしたことで、どのようなメリットがありましたか?
大谷
採用力の強化が望める点は大きなメリットだと感じています。技術サービスを売る当社にとって、一番の財産はやはり「人」です。しかし、これまでは思うように人を集められないという課題を抱えていました。今後は、毎年多くの人材を採用しているMEグループの力で、新たなご縁が生まれることを期待しています。
また、社員教育の充実化に向けたサポートをいただけることもありがたいですね。現在、千葉県佐倉市にあるMEの研修センター内に、新たな研修設備を導入する予定なんです。実際に現場で使われていた機械を施設内に設置して、よりリアルな環境で技術的な訓練を行える場にできればと考えております。このような計画も、我々単独ではとても実行できることではありませんでした。しかも、研修施設の話がここまで具体化するのに掛かった時間は、わずか3ヵ月。MEはとにかく行動が早いんですよ。
今後の展望について教えてください。
大谷
まずは「業界技術力世界No.1」です。国内ではすでにトップレベルの技術力の提供ができていると自負しておりますが、これからは、世界を視野に業界No.1を目指します。
もう一つは、総合的な診断・メンテナンスサービスの提供です。テクノ・スタッフでは、主に静機器の診断を行っていますが、プラントの安全な稼働には他にもさまざまなプロの力が必要です。MEグループには、回転機器、電気、計装、機械点検や工事などのあらゆる専門家がいます。グループ全体が力を合わせれば、今まで我々単独では成し得なかった総合的なメンテナンスサービスの提供が可能になると信じています。